装飾器 (Visual/Auditory Decorators)
ライブビデオストリーミングによる視覚情報通信と、バイラテラル(双方向)コントロール技術によってもたされた力覚情報通信によって、リアルタイムな遠隔操作システムを作ることが可能となりました。しかし、視覚および力覚情報はそれぞれ通信時間、処理時間が異なっていること、また、人間のこれらの情報に対する知覚、応答特性が異なっていることから、フィードバック情報の滑らかな再生と同期は困難です。通信環境や制御手法の改善によって上記の問題を低減することは可能ですが,完全に解消することは不可能であり、特に遠隔システムの性能の確保が困難な環境下では深刻な問題となっています。
そこで、操作者に直感的な動作を促すことによって、遠隔作業における操作性向上を目的として考案されたのが装飾器(Decorator)です。装飾器は遠隔システムとそれを扱う操縦者を繋ぐユーザーインターフェイスの部分に着目した手法となっています。本研究では、画面上での補助情報提示や、音響による操作補助を行う各種装飾器を試験し、遠隔操作システムの操作性向上を促す手法の提案を目的とします。
視覚装飾器
視覚装飾器の一つとして、遠隔ロボットの角度情報と物理モデルから視覚情報を人工的に生成し、本来の視覚情報に付加して提示するということを行っています。装飾情報は画像よりも低遅延で提示することが可能であるため、遠隔地からの画像の提示遅延が操作性に深刻な影響を及ぼすような状況下で特に有効な操作支援手法です。装飾器の有効性の検証には下図に示すレールやプレートの角度を制御する単純な機構のロボットを使用し、実時間通信による遠隔制御を行っています。
主な業績
- 坂本尚志,矢向高弘,近視領域作業のための可変輻輳機構を持つ立体視システムの設計と評価,電気学会論文誌D,Vol.134, No.9, pp.792-800, 2014.